マディ上原インタビュー(ペリカンクラブ 83年9月号掲載)

皆様、コロナウイルス蔓延による自粛ムードの中いかがお過ごしでしょうか。今回は1983年、関西地方発のミニコミ誌「ペリカンクラブ」誌上で連載されておりました森下裕美さんによるインタビュー連載「ひろみの東京出張インタビュー」の中からマディ上原インタビューの回をご紹介致します。

ひろみの東京出張インタビュー(ペリカンクラブ 83年9月号)

マディ上原―世紀末の四コマ

四コマ漫画が全盛を向かえたのは数年前、今はやや下火になってはいるが、その生命力は今だ強く、新人の進出は後をたたない。
エロ漫画誌では、知る人ぞ知るマディ上原もその一人だ。脈絡のないギャグの(ギャグと言えるかどうか……)連続で、登場人物のひとつ目の鬼や、シャブ中患者は、オチの部分で笑っている。
こんなブキミな四コマが今まであっただろーか。ノストラダムスの大予言、ポンペイの大噴火と、バイオレンスジャックの東京地獄地震(事実、彼に会う前にマグニチュード4の地震があった)が、一度に来たかの様な破壊性を持った四コマ漫画家、マディ上原氏に、ペリカンクラブで、ナチズムデザイナーとして活躍していた沢田ジュリー昭彦氏と、私蓄膿症森下裕美が雑談インタビューしてまいりました。

M:マディ上原
S:沢田ジュリー昭彦
H:蓄膿症森下裕美

H:昔、なんきんと同人誌作ってたんでしょ。
M:22ぐらいの時かな、なんきんと、西荻ぐりんが学生時代からやってたけど、後から、あたしがくわわったの。
H:谷岡ヤスジのアシスタントしてたんでしょ。雑誌に載るきっかけって、谷岡さんの所からですか?
M:昔、小谷哲さんが「大快楽」にいる頃、持ちこみして、それを小谷さんが失くしちゃったのね。で、谷岡さんの所でアシスタントしてたら、小谷さんが来て、「あっ原稿なくした人だ」って。そいで谷岡さんが口添えしてくれてね、それからです。で、雑誌に載り始めたのは去年から。まだ一年半だし、プロと言えるかどうか。
H:昔っからああゆう絵でしたか?
M:んーだいたいそうですけど、いしかわじゅんさんに絵心がないって言われちゃった。
H:影響受けた人とかは・・・
M:今好きなのは大友克洋さんとひさうちみちおね。ひさうちさんいいな。好き!でも影響うけた人っていないなー。どっちかて言うと小説読んでる。あたし好きなのは筒井康隆に埴谷雄高と矢作俊彦ね。わりとフツーでしょ。デヘデヘ。
(しばしシーンとする)
M:あの・・・なんか芸が出ないとダメですか?
H:あー、けっこうです、沢田君何かありませんか?
S:「スターウォーズ」見ました?デヘデヘ。
M:ううん見てない。二本目は見たけど。
S:あっ僕一本目しか見てない。
S&M:デヘデヘ。
M:「エイリアン」の方が好きだな。H・R・ギーガーの画集も持ってますよ。
S:強迫観念ものですね。H・R・ギーガーはすごいですね。あの人自分でオカルトの教団つくってるの。
M:そういえば、画集にクロウリーの写真出てたね。オカルトに詳しいんですか?
S:オカルト好きですから、デヘデヘ。
H:マディさんの漫画のキャラクターって顔が東南アジアの仮面みたいなのよね。
M:好きなんですよ。バリ島のマスクダンスとかね。キバが生えた仮面とか、のめりこまないけどね。
H:そうだったのか、俺が宗教的な感じがするのは、
M:宗教やろうじゃないかって話はあるんだけどね。「踊る漫画宗教」って言って、部屋に手塚治虫の住んでる方向に神棚作って、手塚治虫の写真を御真影として置いて、皆で漫画描く格好しながら踊るというね。ベレー帽かぶって丸鼻つきのメガネかけてね。
H:音楽とかどおゆう系統好きですか。
M:広く浅く、ミーハーだからカルチャークラブなんか好きですね。
S:みんなかわいいとか言うけど、ジョージボーイっておばあさん顔だし、魔女みたいですね
M:かわいいじゃないの!何がぶかっこうで…あんなのすぐ消えちゃうのミエミエじゃない。ああゆうの、はかなくって好きですねー。古い話だけどピストルズは興奮しました。PIL見ました?
S:えへへ、見てない。
M:ジョニーロットンがジョンライドンになってから、つまらなくなりましたね。僕となんきんとバンドやりたいって言ってるんだけど、誰も楽器できないの。デヘデヘ。今カズ―使ってんの。
S:僕、最近ボンゴ叩いてるの。
H:なんで四コマやってたんです?
M:やりやすいでしょ。ちょっと下火になってるけど、時流に乗ったっていうか。でも、四コマだけやりたくないの。長いのやりたいんですよね。なんきんなんかも、長いものやりたいって言ってる。(話題が社会問題に発展していく)
M:横浜の浮浪者を中学生が殺しちゃった事件、あれはついやってしまいそーな事件でしたね。仲間がもりあがって一発やりに行こうとか言ったら、フラフラを行っちゃうかもしれない。デヘデヘ。
S:実録時計仕掛けのオレンジですね。
M:「時計仕掛けのオレンジ」好きなんですよ。あれ良いですね。
H:よくシャブ中とか通り魔のネタ使うけど、好きなんですか?
M:ギャグになりやすいからねえ。
S:久内さんとはうんこの話しかしなかったよ。うんこの出てくる話を描いてくださいとか。デヘデヘ。
H:なんきんもうんこですね。
M:多いわ彼は。飲んで酔うとグロねたが多くなっちゃうよ。あたしは気持ち悪いの好きですね。気持ち悪いの好きでしょ?
H:好きってゆーか……気持ち悪くてきれいなのが好きですね。でも下品なのはいやだ。
M:じゃあはっきり言って、あたしの漫画なんか嫌いじゃないんですか!
H:あの…下品でもそれほどでもないし、絵がかわいいと思います……
M:あたしどっちかってゆーと下品なのは好きですよ。この前四コマのオチの所に、おまんこ描いたら、谷岡さん喜んでくれてうれしかったなあ。師匠にほめられてうれしかった。デヘデヘ。

マディ上原=カルメン・パーキング・ピラニア等にスチャラカシンドローム、ヒョーキンクリニックを執筆中。

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